極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 五百ミリリットルの水を飲み干し、将生はようやく多少意識がはっきりしたようだった。

「ごめん。そんなに飲みすぎたつもりはなかったんだけど……」
「将生、すまないが急いでいる。手短に聞くが、今朝、俺と二人で会いたいと山内に伝言したか?」
「兄さんと二人で……? いや、そんな話をした覚えはないよ」
「山内は今どこにいる?」

 将生がパチパチと目を瞬かせた。こてり、と子供のように首をかしげる。

「山内がどうかしたの?」

 眉間にしわを寄せ無言のままじっと見つめる俺に何かを察したのかもしれない。将生は素早く自分のスマートフォンを手に取った。電源が入っていないことに驚いた顔をする。

「ねえ、もしかして鞠香さんに何かあった……?」

 スマートフォンが起動するのを待ちながら、将生が尋ねてきた。スマートフォンの立ちあがりの遅さにいらいらしたように顔をしかめる。

「あいつに連絡しようとしているなら、やめてくれ」
「……なんで」
「それより思い出してほしいんだ」

 一拍置いて、ことの重要さを印象づける。
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