極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 彼はわたしの肩を押さえつけ、首筋に顔をうずめた。

「いやっ」

 頸動脈のあたりをきつく吸われる。
 鈍い痛み。軽く噛まれたかと思うと、犬のようになめられる。

 人体の急所を危険な人物に差し出している恐怖。
 抵抗したいのに体が凍りついたように動かない。圧倒的な力の差に絶望しそうになる。

「助けて……」

 翔一郎さん、お願い、来て。

 翔一郎さんとの甘やかな時間を思い出す。
 グランドスイートで、ピアノバーで、プールサイドで、映画館で。
 翔一郎さんは強引だったけど、わたしが止めるとやめてくれた。

 翔一郎さんには権力も体力もある。いつでも力で奪ってしまうことができるのに、わたしを待ってくれた。わたしが自分の意志で決めるのを。

「……翔一郎さん」
「くくっ、俺をやつだと思ってもいいんだぜ。それで感じてくれたほうが俺も楽しめる」

 オリバーさんがわたしのワンピースの前のボタンを開けてブラジャーの上から胸にさわる。

「やだ……やめて……」

 彼も容姿だけならきっと女性に好かれるタイプだと思うのに、ひたすら怖くて気持ち悪い。
 さわらないでほしい。今すぐ離してほしい。
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