極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 ぎゅっとつぶっていた目を開くと、そこには背の高いうしろ姿。
 ダークブラウンの短い髪、少ししわの寄ってしまった仕立てのいいスーツ。
 わたしを守るように立つ広い背中。

「翔一郎さん……!」

 それはずっと待っていた人だった。
 来て、くれた……。

 彼はオリバーさんのシャツの胸もとをつかみ、思いきり殴りつけた。
 倒れたオリバーさんの上に馬乗りになって殴りつづける。鈍く低い音とオリバーさんのうめき声が響く。
 翔一郎さんは一言もしゃべらない。

「翔一郎さん、待って、そんなにしたら死んじゃう!」

 さすがにまずそうな雰囲気に止めようとするけれど、手足が粘着テープで拘束されたままで動けない。何重にも巻かれていて、口のテープのようにははがれない。

「翔一郎さん! これ、取ってください! お願い、テープ取って!」

 そこにまた新たに飛びこんできた人がいた。

「――兄さん!」
「あっ、将生さん!」
「鞠香さん、大丈夫!?」
「大丈夫だから、お願い、翔一郎さんを止めて!」
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