極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 彼は窓辺でワイングラスを傾けていた。

「海堂、さん……」

 暖色系の間接照明が明るいブラウンの髪を柔らかく照らしている。
 顔だけじゃなく、とにかくスタイルがいい。長身で足が長く、肩幅が広くて腰がきゅっと引き締まった逆三角形の体型だ。
 パーティー会場ではまるで王子様だと思ったけれど、改めて見ると、堂々としたたたずまいは王子様というより若い君主のようだった。
 なんだかわけのわからない変わった人だけど、かっこいいのは間違いない。

 海堂さんは窓ガラスに映ったわたしに気づいて、ふっと微笑んだ。

「素顔は少し幼いかんじがするな」
「……あ」

 そういえばメイクも落としてしまったので、まるっとすっぴんだった!
 完璧なイケメンを前にして、無防備な気がして恥ずかしい。

 で、でも、向こうはわたしみたいな地味な一般人なんて、なんとも思っていないわよね。赤ワインまみれの醜態をさらしておいて、今さらだし。

「シャワーを使わせていただいて、ありがとうございました。あと、この着替えも。後日、洗ってお返ししますね」
「気にしなくていい。仮の服だ」
「……仮?」
「まずは座って話そうか」
< 19 / 252 >

この作品をシェア

pagetop