極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「クルーズシップをはじめ船舶では、船長に絶大な権限がある。運行責任者であると同時に、人命や船の安全を守るため司法権や警察権も持っている、特別な職種だ」
「じゃあ、船長さんはあの人たちが自由に行動しないように強制することができるんですね」
「そうだ。私もついている。もうあんな目には遭わせない」
「わっ!?」

 人目もはばからず抱きしめられた。ぎゅーっと強く。
 ちょっと待って。大切に思ってくれる気持ちはうれしいけど、やっぱり人前でいちゃいちゃするのは恥ずかしい。

「しょ、翔一郎さん、みんな見てるから」

 将生さんがわたしたちをじとっとした目で見て言った。

「兄さん、僕もいるんだけど?」
「よけい見せつけておかないといけないだろ。これからはほかの誰でもない、私が鞠香を守る」
「わかってるって。初恋が叶ってよかったね」

 ……初恋?
 疑問に思って翔一郎さんを見上げると、翔一郎さんはあからさまに目をそらした。
 もう少し詳しく聞いてみたくて口を開きかけたところにノックの音が響いた。

「入れ」

 船長さんの命令にクルーが動いてドアを開ける。
 そこにいたのは――。

「山内さん!?」
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