極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「うん、ごめんなさい」
「いや、いいんだけど。こちらこそ、僕のせいで怖い思いをさせてしまって本当にごめんなさい」
「そんな。将生さんのせいじゃないでしょう」

 それでも、と翔一郎さんにしたのと同じように深く頭を下げる。

「もう解決したんだからいいんです。どうか頭を上げてください。将生さんだって巻きこまれたようなものなのだし」

 誰が悪いかといったら、やっぱりこんなことを計画した人と実行した人に罪があると思う。将生さんだってある意味、山内さんの信仰のような熱意の標的になった被害者だ。

「ありがとう。鞠香さんはかわいくて優しいのに、一本芯が通っているよね」
「ええ? わたし、別にかわいくも優しくもないですよ」
「そんなことはないさ。昔から天使みたいに愛らしくて――」

 将生さんがまだわたしには分不相応なほめ言葉を続けようとしていたら、

「将生」

 と、どすの利いた低い声が将生さんをさえぎった。
 翔一郎さん? ちょっと顔が怖いけど、どうしたのかな?

「兄さん、警戒しなくてもいいから。もう今は鞠香さんのことを友人で、義理の姉さんだと思ってるよ」
「…………」
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