極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 そんな翔一郎さんをスルーして、将生さんはわたしに向き直った。
 義理の姉……、ちょっと内心どきどきしてしまう。それってそういう意味でいいのかな?
 将生さんはちょっと恥ずかしそうにこめかみをかいた。

「あのさ、僕、実はピアニストになるのが夢なんだ」
「ピアニスト?」
「うん」
「音楽をやっていたのね」
「僕たちが初めて会ったセレブリティクイーンの旅、覚えてる?」

 わたしはうなずいて、翔一郎さんと将生さんを見た。
 ショウおにいちゃまとサキちゃん。
 男らしく成長した二人がまさかあの少年たちだなんて……。さっきようやく記憶と目の前の現実が一致したけれど、信じられない思いも強い。男の子の変化ってすさまじい。

「兄さんのピアノで一緒に踊ったり歌ったりしたこと、覚えてる? 楽しかったよね」
「ええ、とても楽しかった」
「僕はあの時初めて音楽を楽しいと思ったんだ。それまでは母に無理やり習わされていたけど、ほんといやいやだったよ」
「そうだったの……」
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