極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「あ、はい」

 海堂さんとソファーに座ると、三十代くらいの欧米人の男性がわたしの前にもグラスを置いてくれた。上品な黒いスーツを着ている。

 細かい泡がしゅわしゅわと繊細な音を立てる、透明な飲みもの。スパークリングウォーターかな?
 お風呂上がりにさっぱりしたい気分だったので、ありがたい。

「Thank you so much」

 会釈すると、金髪碧眼の彼は「どういたしまして」と綺麗な日本語で応えた。左手を腹部にあてて、軽く頭を下げる。

「彼は私の部屋の専属バトラー、エリオットだ」

 バトラー、つまり執事さん。
 専属の執事が付く部屋ということは、やっぱり海堂さんが宿泊しているのはかなりの上級キャビンなのね……。

 そして、海堂さんは英語がペラペラみたいだけど、バトラーは担当する際の敬意の表現として、日常会話程度の日本語は勉強している可能性がある。
 やっぱり本物の執事、本物のラグジュアリーシップは違うのかもしれない。

 勝手に妄想して感動していると、海堂さんが咳払いした。わたしは慌てて頭を切り替える。
< 20 / 252 >

この作品をシェア

pagetop