極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 翔一郎さんはそれ以上はその話を続けず、「のぼせないように、気をつけて」と優しく言って脱衣室から出ていった。

「……はい」

 頬が熱くなってしまった。本当にのぼせてしまいそう。
 わたしはそのあとすぐにお風呂をあがった。





 普段着に着替えてからバスルームを出ると、扉の外に翔一郎さんが待っていた。
 翔一郎さんはかすかにほっとしたような顔をする。

「そんなに心配かけちゃいました?」
「いや。きみが無事なことをもう一度確かめさせてほしい」

 そう言うと、翔一郎さんはすぐに抱きしめてきた。
 勢いのわりにその手の動きは優しくて。壊れやすいガラスのオブジェでも扱うように、そうっと彼の両腕がわたしの背中に回る。

「翔一郎さんのおかげでわたしは無事よ」
「すまなかった」
「何を謝っているの? 翔一郎さんは何も悪くない」
「いや。すべての元凶は私だ。私がことを強引に進めたばかりに、きみをこんな目に遭わせてしまった」
「それは……」

 たしかにそういう面もあるかもしれない。
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