極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 少し逡巡していた翔一郎さんが覚悟を決めたように言った。

「バルコニーに行こうか」

 大判のストールを肩にかけてバルコニーに出る。
 広いバルコニーには朝食を食べたりお茶を飲んだりするテーブルセットのほかに、ごろりと横になってお昼寝できそうなデッキチェアが置かれている。

 その横に観葉植物で軽く仕切られたスペースがあって、奥には籐製のハンギングチェアがあった。
 二人がけのハンギングチェアだ。卵を縦に半分に割ったような形の籠が二本のチェーンでつるされている。座面には柔らかいクッションがたくさん敷きつめられていて、大きな鳥の巣のようでもあった。

「ここで話そう」
「う……はい」

 翔一郎さんと二人でハンギングチェアに座る。背中から頭の上まで籐の網目に囲まれた空間は、すっぽりと包みこまれているようで心地いい。
 世界が空と海と、わたしと翔一郎さんだけになる。
 否応なくロマンチックな雰囲気になってしまいそうで、ちょっとおじけづいてしまった。だけど、わたしは彼への気持ちを自覚したんだから。しっかりしないと。
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