極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「鞠香、きみがいやだと思うことはしない。だから、そんなに警戒しないでほしい」
「警戒なんて。そんなつもりはないんだけど」

 くす、とまた翔一郎さんが唇の端を上げた。
 そして、卵型の籐のバスケットの中で密着していた体を少し離し、わたしの手を取った。

「Nice to meet you. Your name, please?」
「えっ?」

 翔一郎さん?
 不思議に思って見上げると、彼はわたしを真剣に見つめていた。

「あ、あの時の……」

 四日前、ウェルカムパーティーで赤ワインをかけられ、服を汚してしまったわたしに声をかけてくれた『海運王』の御曹司。
 彼は少しも迷いも見せず、フロアの反対側からまっすぐわたしの前に来た。

『Nice to meet you. Your name, please?』
『え? わたし? Good evening, my name is Marika. あの、わたしは光井鞠香と申しますが、日本の方ですよね? どちら様でしょうか?』
『私は海堂翔一郎です。ご存知ないですか?』
『はい……?』
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