極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「愛らしくはないですよ。わたしメイクやおしゃれなんかにはうといし、男の人からかわいいなんて言われたことないし」

 ストレートにほめられる経験があまりないので焦ってしまう。慌てて首を振ると、翔一郎さんはうっとりとしたまなざしでわたしを見つめた。
 こんな甘やかな瞳、向ける相手を間違えてないわよね。わたしでいいのよね……?

「それはまわりの男たちに見る目がないか、きみがまぶしすぎて遠巻きにしていたんだろう。私にとっては幸運だったが」
「そんなことは……。翔一郎さんは、本当にわたしでいいんですか? わたし、平凡でぱっとしないし、その……海堂家にはふさわしくないんじゃ?」
「海堂家? 確かにあれこれ言う者もまだ残っているかもしれない。だが、いつか鞠香と結婚すると決めてから、誰にも文句を言わせないように盤石の体制を築いてきた」
「結婚?」
「ああ、セレブリティクイーンから降りたあと、父と話をして花野宮家に婚約を申しこむつもりだったんだ」
「そんなに早く!?」

 あの時、翔一郎さんは小学校の高学年くらい。わたしはもうプライマリースクールに通っていた気がするけど、まだ五、六歳だったわよね?
< 208 / 252 >

この作品をシェア

pagetop