極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 そのあと『いつかマリカにかっこいいところを見せるから、大人になったら結婚してほしい』と言われて……。

『ええ!? 結婚って大人がするものでしょ?』
『うん、だから、大人になったら。マリカはきっともてるようになるから、今から予約しておかなくちゃ』

 そんな会話をかわしたと思う。でも、肝心なところを覚えていない。
 困ってしまって横に座る翔一郎さんを見上げると、翔一郎さんはおかしそうに笑った。

「やっぱり忘れていたんだ。鞠香はあの時『もし忘れてたら、また教えてね』と言っていた。だから、教えるよ」
「お願いします……」
「鞠香は『ショウおにいちゃまのお嫁さんになる!』と叫んで、私に飛びついてきたんだ」

 翔一郎さんがわたしに向かって大きく腕を開いた。
 これは、わたしから抱きつけってこと!?

「プロポーズの返事を忘れていた罰だ。さあ、あの夏からやり直そう」

 人生で二度目のプロポーズ。
 無邪気なあのころと違って、自分から行動を起こすのは恥ずかしい。

 でも。
 翔一郎さんが言葉にしてくれたように、気持ちは表現しないと伝わらないから。
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