極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 ふとよみがえったさみしさを表に出さないよう、笑顔に閉じこめる。

「海堂さんはよくクルーズにいらっしゃるのでしょうか」
「ん? ああ、仕事柄、それなりに船には乗っているな」
「お仕事?」
「海堂ホールディングスを知らないか?」

 海堂ホールディングス……。

 そういえば、聞いたことがあるかも? とても大きな会社じゃなかったかしら。

 そうだ。……思い出してきた。

 海堂運輸、海堂汽船、カイドウフェリーなど、いくつもの企業を傘下に持つ巨大ホールディングス。いわゆる親会社がそんな社名だったような。

 海堂ホールディングス。
 海堂……。

 あれ?
 えっ!?
 海堂さんって、まさか!?

「……『日本の海運王』と呼ばれる、海堂一族!?」

 ――海運王。
 その呼び名は大袈裟ではない。

 そう、完全に思い出した! 以前、旅行関係の仕事を調べている時に雑誌で見たのだ。
 海堂ホールディングスは、世界の海を行き来する巨大なタンカーから、国内の海上輸送を担うフェリーまで数多くの船舶を保有している。海運事業をメインにさまざまな業種に進出し、成功をおさめているという。
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