極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 白いテーブルクロスのかかった丸テーブルの上には三段になったスタンドが置かれている。白地にターコイズブルーのアラベスク模様が描かれた美しい陶磁器の皿には、一口大のサンドイッチやスコーン、かわいらしいケーキが並んでいた。
 一緒に供された紅茶はとてもいい香りがする。

「だが、そんなことよりも、まずは鞠香のご両親にあいさつがしたい」
「両親……。母はいつでも歓迎してくれると思います」

 お母さん、びっくりするかな。
 うん、驚かないわけがないか。旅行から帰ってきたと思ったら、恋人どころか婚約者を連れてくるなんて。
 でもきっとひとしきりああだこうだと騒いだあと、『鞠香ちゃんが行きたい道に進みなさい。あなたの人生なんだから、それが一番よ』と笑って応援してくれるに違いない。

「でも、父は連絡が取れるかどうか……」

 母はお嬢さん育ちのおっとりとした人で、父と別れてからずいぶんと苦労したと思う。
 莫大な借金を抱えて会社を畳んだ父と、離婚して子連れの出戻りになった母に、母の一族からの風当たりは強かった。母はその人たちからわたしを守るために、血縁も地縁もない田舎で一人わたしを育ててくれた。
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