極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 いつかは俺と鞠香もあんなふうに子供たちに囲まれる日が来るのだろうか。気が早いか。

「鞠香はいつから仕事なんだ?」
「えーと、しあさってかな。ニューヨークに一泊して、次の日には羽田行きの飛行機に乗ります」
「そうか……」

 鞠香と同じ便を取ろう。東京に着いたら、その足で彼女を俺のマンションに連れていく。
 鞠香はうちから通勤すればいい。もう一日たりとも離したくない。

「あの」
「ん?」
「仕事の話なんですけど……」

 鞠香が少しためらいながら話を切り出した。

「わたし、結婚したら、会社を辞めたほうがいいんでしょうか。海堂ホールディングスを背負う翔一郎さんを支えるのは、きっと生半可な気持ちではできないですよね……」
「鞠香はどうしたい?」

 少しうつむいて難しい顔をする鞠香。

「わたしは……できればまだ仕事を続けたいです。夢があるから。でも」
「うん」
「翔一郎さんを大切に想う気持ちは、ほかの何事にも代えられないんです」

 真剣に俺のことを考えてくれる鞠香が愛おしくて、そっと抱き寄せる。
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