極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 余裕のない声。
 翔一郎さんのコロンと、夕方まで外で過ごした汗と埃の匂い。自分が汗くさかったらいやだと思うのに、翔一郎さんの匂いにはどきどきした。
 頭の芯がじんとしびれて足の力が抜ける。支えてくれた彼の腕が、わたしのひざの裏をすくいあげて横抱きにした。

「すまない。もう本当に限界なんだ」
「翔一郎さん……」

 その苦しそうな目がわたしの心を射抜いた。

「きみが欲しくて、気が狂いそうだ」

 ベッドに横たえられ、荒々しく口づけられ。わたしからも口づけて。

「鞠香」

 服を着たままつながった。
 スカートがめくれあがって。その乱れた布の中で、翔一郎さんの腰が何度も何度も前後する。

「んっ、あ……あぁっ」
「鞠香……、鞠香、愛してる」

 二度目のセックスは、最初の夜の痛みが嘘みたいにただ気持ちよくて……。
 わたしは深くて甘い愛の海に溺れた。





「いたずらしちゃだめです!」

 ついわんこを叱るような口調になってしまう。相手はわんこじゃなくて、翔一郎さん。

「何もしない。さわっているだけならいいだろう?」

 さわっている時点で『何か』している気がするんだけど……。
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