極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 リサさんから手を差し出されたのでつかまると、全身鏡の前に連れていかれた。シーリングスポットライトがあたっていて、鏡のあたりだけ周囲より少し明るい。

「……え……?」

 その大きな鏡には、見たことのない大人びた女性が映っていた。

「ええ? まさか、これがわたし……?」

 濃紺のドレスは照明の光を反射して、なめらかに輝いていた。
 体のラインに添って床まで流れるロング丈のサテンの陰影。その上品な光沢のおかげで実際の体格より凹凸が際立ち、女性らしいスタイルが強調されている。
 袖はなく、肩や背中、胸もとも大きく開いた正式なイブニングドレス。肌の露出が多いのは恥ずかしいけれど、客観的に見るとフォーマルナイトにふさわしい華やかさがあった。

 肌を飾るのはおそろいのピアスとネックレス。
 ダイヤモンドのような透きとおった宝石が連なり、キラキラしている。もしかしてこれ、本物のダイヤモンドなのかしら……。

「本当にお美しいです。夜会ですので、メイクもメリハリを付けました。マリカ様の楚々としたイメージを損なわずに、あでやかさを加えることができたと思います」
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