極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
これまで一度も試したことのない、はっきりした色の口紅が大人っぽい。
黒い髪は後頭部でシニヨンにまとめられ、後れ毛もなくすっきりとしていた。合わせ鏡でうしろ姿を見てみると、優雅で複雑な編みこみになっている。
「……プロの仕事ってすごいですね」
まるでお姫様になる魔法をかけられたようだ。これが場違いな服装をしてキョロキョロしていた地味子だとは誰も思わないだろう。
周囲を取り囲むスタッフたちも心なしか満足げに見えた。
「本当に、わたしじゃないみたい……」
驚きのあまり深くため息を吐いた時、部屋の扉が開く音がした。
「……?」
「仕度はすんだようだな」
背後からかけられたのは低い男の声だった。
あ、海堂さんだ。
鏡の中で海堂さんと目が合った。
タキシードを着た背の高い男は、こちらに近寄ってこようとして立ち止まった。
「……鞠香?」
目を見張り、鏡の中のわたしを凝視する。
わたしの名前を呼んだあとは何もしゃべらずに固まり、彫刻のように動かなくなった。
「海堂さん?」
「…………」
黒い髪は後頭部でシニヨンにまとめられ、後れ毛もなくすっきりとしていた。合わせ鏡でうしろ姿を見てみると、優雅で複雑な編みこみになっている。
「……プロの仕事ってすごいですね」
まるでお姫様になる魔法をかけられたようだ。これが場違いな服装をしてキョロキョロしていた地味子だとは誰も思わないだろう。
周囲を取り囲むスタッフたちも心なしか満足げに見えた。
「本当に、わたしじゃないみたい……」
驚きのあまり深くため息を吐いた時、部屋の扉が開く音がした。
「……?」
「仕度はすんだようだな」
背後からかけられたのは低い男の声だった。
あ、海堂さんだ。
鏡の中で海堂さんと目が合った。
タキシードを着た背の高い男は、こちらに近寄ってこようとして立ち止まった。
「……鞠香?」
目を見張り、鏡の中のわたしを凝視する。
わたしの名前を呼んだあとは何もしゃべらずに固まり、彫刻のように動かなくなった。
「海堂さん?」
「…………」