極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「わかりました。いいですよ。セレブリティクイーンを知りつくして仕事もがんばって、一皮むけた大人の女になってやります!」
「そうか。それでいい」

 海堂さんが少し笑った。時々見せる飾りけのない笑顔。
 いつもそういう顔をしていればいいのに……と思ってから、はっとした。

 わたし、いったい何を考えているの。海堂さんがどんな顔をしようと関係ない。
 これは交換条件。契約のようなものだ。
 八日間、わたし一人では絶対に入れないセレブリティクイーンのハイクラスな部分まで経験させてもらう。その代わりに彼の虫よけになる。
 それだけだ。

「では、私のことは名字ではなくファーストネームで呼べ」
「ファーストネーム?」
「翔一郎だ。ショウでもいい。覚えたか?」
「さすがに忘れてません!」

 軽く怒って見せると、海堂さん、もとい翔一郎さんは「ははっ」と珍しく声を立てて笑った。

「では、行こうか」

 長身の翔一郎さんの腕につかまってアトリウムに戻る。
 アトリウムの大きな扉がわたしと翔一郎さんの前で両側に開き、ウェルカムパーティーの会場が見えた。
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