極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 だって、そこはやはりグランドスイートルーム――この豪華客船で一番高級なお部屋だったのだ。

 部屋に入ると正面に大きな窓、そして右手に螺旋階段が見える。メゾネットタイプの部屋だ。

 そう、メゾネット。

 客船の中だというのに、室内に階段があるの!
 下の階に応接室をはじめとしていくつか部屋があって、上の階には寝室があるみたい。応接室は吹き抜けになっていて、二階の部屋のガラス窓にカーテンがかかっているのが見える。
 マンションとかでは見たことがあるけど、クルーズ船にメゾネットのような贅沢な空間があるなんて驚きだ。

「広いですね」
「そうか? スイートはだいたいこんなものだろう」
「そ、そうなんだ」

 わたしは目を見開いてしまった。さすがに御曹司は言うことが違う。
 このお部屋、わたしの泊まっているシングルルームがいくつ入るかしら。

 ――数分前。
 この部屋に入ってすぐ、女性スタッフの皆さんが入ってきて素早く着替えさせられた。作業が終わると彼女たちは波が引くように去っていった。
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