極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 大人の男性の口から出てきた少年みたいな言葉がおかしくて、思わず「ふふ」と笑ってしまった。

 狭くて窓のないシングルルームは別に質素というわけじゃない。そこはセレブリティクイーンだもの、シングルでも快適に過ごせるように内装も綺麗で機能的にデザインされていて、薄暗いかんじはまったくない。
 でも、それが余計に、裕福なおうちにある書斎の奥の隠し部屋のような雰囲気をかもし出しているのだ。まさに隠れ家、秘密基地。

「翔一郎さんも冗談なんて言うんですね」

 わたしはちょっとリラックスした気分で、軽く翔一郎さんをいなそうとした。

 だって、さすがに付き合ってもいない独身の男女が同じ部屋に泊まるなんて非常識すぎる。……こんなに広くて何部屋あったとしても、非常識よね?

「それはもちろん泊まってみたいです。でも……」
「私はきみと約束した。セレブリティクイーンのすべてを見せてやると。それには、この船で最高クラスの客室であるグランドスイートも入っていると、私は理解している」
「ええぇぇ?」

 にこりと微笑んだ翔一郎さんがグラスを手にして立ちあがり、わたしの横に移動してきた。
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