極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 お酒はそんなに弱くないはずなのに、頭がくらくらしてふわふわして……。飲みなれないカクテルに酔ってしまったのかもしれない。

「ひどい……」
「ん?」

 まるで愛しい女性を見るかのようにわたしを見つめる榛色の瞳。その嘘つきの瞳に胸がチクリと痛んで、ぷいっと目をそらした。

「初めてだったのに」
「初めて?」
「……ウエルカムパーティーでのキスが」
「…………」
「生まれて初めてのキスだった」

 ちらりと横目で見ると翔一郎さんはぼう然としていた。

「本当なのか? まさか……初めて?」

 穴が開きそうなくらい見つめられる。心の底から驚いているみたい。
 確かにもう二十三歳。友人や同期の女子社員もほとんどは彼氏がいる。

「わたし、残念ながらもてないので」

 付き合いの悪いわたしは当然もてない。飲み会や合コンへ行ったり、身なりにお金をかけるくらいなら旅したいし。
 大学の学費や生活費は母と離婚して遠くにいる父親が払ってくれていたけど、今や独立した身。
 新人に当然余裕はない。お給料は貴重なのだ。

「そんなことはないだろう。恋人がいても当たり前だと思っていた」
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