極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
カシュクールの合わせ目から入ってきた彼の手が胸のふくらみにふれる。ピリピリと感電したような痺れが突き抜けた。
「だめ」
「鞠香」
翔一郎さんの声に目を開けると、またキスしてしまいそうな近さに彼の顔があった。
「このまま鞠香が欲しい……」
突然、何を?
間近で見る翔一郎さんの表情はとても切羽詰まっているように見える。
「きみは私のことをどう思う?」
「……今日初めて会ったのに、そんなこと言われても……」
「初めて会った、か」
ほんの少しだけ苦い笑み。どうしてそんな顔をするの?
「鞠香、私は……いや」
頬に、おでこに、まぶたに降ってくるキス。
わたしは目を閉じた。
さっきまでわたしは、ワンピースにワインをこぼされて途方に暮れていた平凡な会社員だった。
母一人娘一人の母子家庭。母との関係はよいけれど、大学からは東京のワンルームマンションで一人暮らしをしていて。
友達は多いけど、彼氏なし。
ありふれた、でもそう悪くはない穏やかな毎日。
「――きみが気に入った。本当に私の婚約者にならないか?」
「だめ」
「鞠香」
翔一郎さんの声に目を開けると、またキスしてしまいそうな近さに彼の顔があった。
「このまま鞠香が欲しい……」
突然、何を?
間近で見る翔一郎さんの表情はとても切羽詰まっているように見える。
「きみは私のことをどう思う?」
「……今日初めて会ったのに、そんなこと言われても……」
「初めて会った、か」
ほんの少しだけ苦い笑み。どうしてそんな顔をするの?
「鞠香、私は……いや」
頬に、おでこに、まぶたに降ってくるキス。
わたしは目を閉じた。
さっきまでわたしは、ワンピースにワインをこぼされて途方に暮れていた平凡な会社員だった。
母一人娘一人の母子家庭。母との関係はよいけれど、大学からは東京のワンルームマンションで一人暮らしをしていて。
友達は多いけど、彼氏なし。
ありふれた、でもそう悪くはない穏やかな毎日。
「――きみが気に入った。本当に私の婚約者にならないか?」