極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
海に浮かぶラグジュアリーホテル

1.バルコニーで朝食を

 翌朝の目覚めは最高だった。
 あんなに気持ちのアップダウンが激しい一夜だったのに、我ながら回復力がある。

「うわー、いいお天気!」

 季節は早春。
 朝の海風は冷たくて、わたしは手に持っていたカーディガンを羽織った。

 ここはグランドスイートのプライベート・バルコニー。
 ゆったりとした空間に、快適にお昼寝できそうなデッキチェアやラタンのガーデンテーブルセットが並んでいる。

 船尾の部屋なので、視界いっぱいに広がる白い航跡波が美しい。まるでセレブリティクイーンが長いレースのヴェールを引きずっているみたい。

「おはよう」
「あ……、おはようございます」

 振り返ると、英字新聞を手にした翔一郎さんがいた。
 昨夜の出来事が一瞬脳内によみがえって顔が熱くなった。あの形のいい唇にキスされて、骨ばった長い指に胸をさわられて。

 あー、だめだめ!
 きっと翔一郎さんにとってはラブアフェアなんてよくあることなんだから、意識したら負けだ。

「よく眠れた?」
「はい、ぐっすりと!」
「そうか」

 なぜか少し苦笑気味の翔一郎さん。

「私はなかなか寝つけなかったよ」
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