極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「そうなんですか? あ、そうか。見慣れない人間が近くにいると、やっぱりリラックスできませんよね。わたし、もう自分の部屋に戻ったほうが……」
「いや、そうじゃない。大丈夫だ」

 翔一郎さんはわたしの横に立って、海じゃなくてわたしを見つめた。

「私の愛らしい花嫁のことがなかなか頭を離れなくてね」
「えっ!? 花嫁?」
「きみのことだよ」
「な……また、そういうこと言う!」

 くすくす笑っているから冗談だってわかりきっているけど、ほてりかけていた顔がぶわっと熱を持つ。
 ああ、たぶんわたし真っ赤だ。
 そういう口説き文句みたいな台詞、慣れていないんだからやめてくれないかしら。

「本当にかわいいな」
「まったくもう……」

 せっかく一晩寝てすっきり冷静に戻ったのに、なんだかまたふわふわな気分になってしまうじゃない。
 朝からときめきと戸惑いが心臓に悪い。

「今日からきみを思いきり甘やかすと決めたんだ」
「甘やかす……ってなんですか?」
「だって、私は美しい婚約者に夢中なんだからね。わざわざ豪華客船のパーティーで発表するなんて異例のことだ」
「あ」

 そうだった。そういう設定だった!
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