極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 わたしと彼は仲のいい恋人で婚約者。翔一郎さんを狙う女性たちが近づいてこないように、うまくカムフラージュしないと。

「婚約者役ですよね、うん。忘れないようにしなきゃ」
「……あわよくばこのクルーズ中に……」
「え? なんですか?」

 わたしがブツブツ言っていると、翔一郎さんが何かつぶやいた。

「いいや、なんでもない。さあ、朝食にしよう」
「ここで? レストランには行かないんですか?」

 またくすりと笑われた。

「また今度レストランも行こう。だが、バルコニーでの朝食も経験したいだろう?」
「はい!!」





 さわやかな潮風。
 見渡すかぎりの水平線。
 贅沢な開放感の中で味わう、バルコニーでの朝食。

「おいしそう……」

 パンやペイストリー、フルーツやヨーグルトのほかに、スモークサーモンやベーコン、キッシュに卵料理。
 白いテーブルクロスの上には食べきれないほどの皿が並べられている。

 彩り豊かな朝食に目がくぎづけだ。
 海の青、空の青、テーブルの上のフルーツの赤やオレンジ、スクランブルエッグの黄色。
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