極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「……はい。わたしと同世代の人たちやファミリーにも、クルーズ旅行の楽しさを伝えていけたらいいなと思っています」

 幸せだった思い出がよみがえって少し涙ぐんでしまったのを、目を瞬かせてごまかした。薄く涙の膜のかかった視界の向こうで、翔一郎さんが優しく見守ってくれているような気配がした。

「期待しているよ。さて、今日は何がしたい? できるだけ付き合うつもりでいる」
「でも、お忙しいのでは……?」

 翔一郎さんは軽く眉をしかめて、肩をすくめて見せた。

「プライベートの旅行中ではあるが、実は少々しなければならない仕事があるんだ。だが、そのほかの時間はきみのために使おう」
「いいんですか?」
「きみのような好奇心旺盛な人間と行動するのもおもしろそうだからな」

 翔一郎さんと一緒なら、一人ではできないことにもいろいろと挑戦できるかも。だんだんとわくわくしてきた。

「ええと、船内のレストランやバーを全部回ってみたいし、デッキのカフェでゆっくりするのもいいですね」
「ああ」
「あと、ナイトショーや星空映画館、カジノ……、もちろんプールにも行きたい!」
「お姫様のお望みのままに」
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