極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~

2.輝けるセレブリティクイーン

 わたしはその時、目の前にそびえるワイングラスタワーをぼう然と見上げていた。

「想像以上にゴージャス!」

 ピラミッド型に積みあげられたたくさんのクリスタルグラスは、黄金色のスパークリングワインで満たされている。まばゆく輝くグラスタワーは、広いアトリウムの真ん中できらびやかな存在感を放っていた。

 高い天井には大きなシャンデリアがいくつも輝き、とても今が夜とは思えない明るさだ。

 グラスタワーから目を下げ、あたりを見回す。
 深紅のカーペットの上を、色鮮やかなイブニングドレスに身を包んだ女性たちが優雅に行き来する様に目を奪われる。ところどころで、グラスを片手にした燕尾服の紳士のグループが穏やかに談笑していた。

「まるで映画の中の世界みたい……」

 現実離れしている。つい先週まで小さな営業所のカウンターで受付業務をしていた自分が、こんな華やかな場所にいるなんて信じられない。
 そして、ここが船の上だというのも嘘みたいだった。

 揺れなんてまったく感じられない。港から遠く離れた海に浮かんでいるのが冗談みたいな安定感。
< 6 / 252 >

この作品をシェア

pagetop