極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「ここがお待ちかねの映画館だ。映画館というより上映スペースか」

 翔一郎さんのエスコートにしたがって歩いていくと、コンサバトリーの裏側に大きなスクリーンがあった。
 スクリーンの前には座り心地のよさそうなソファーが並んでいる。

「Movies Under the Sky!」

『Movies Under the Sky』というのは、この映画上映スペースの名称だ。
 空の下の映画館――つまり、屋外シアター。
 クルーズ船の中に映画館があるのは普通だけど、屋外にあるのは珍しいと思う。

 街の灯のない真っ暗な夜空の下、波の音を聞きながら映画を観る。
 まだ寒いかもしれないけど、恋人と毛布にくるまっていたら幸せかもしれない。冬に食べるアイスクリームみたいに。
 なんてロマンチックなんだろう。

「……恋人?」

 はたと一瞬思考が止まって、わたしは首をかしげた。

「恋人って」

 今は、もしかして翔一郎さんのことになるのかな?
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