極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 プールのまわりにはジェットバスやバーカウンターがあり、何十脚ものデッキチェアが並んでいる。
 少し肌寒い陽気のせいかプールで泳いでいる人はいなかったけど、デッキチェアではたくさんのゲストが日光浴をしていた。

「豪華客船らしい光景ですね」

 船の上のプールの写真はクルーズ旅行のパンフレットの定番だろう。これが暑い日差しのもとの南洋航海ならハネムーナーにぴったりだ。

「鞠香の水着姿も見たかったな」
「ちょっとそれ、おじさんっぽいですよ?」
「鞠香からしたら、私もオヤジに見えるのか」
「まさか、せいぜいお兄さんです。翔一郎さんはおいくつなんですか?」
「二十八だ」

 わたしは翔一郎さんを見上げた。
 二十代後半だろうなとは想像していたけど……。

「……五歳しか違わないんですね」
「何か含みがあった気がするが」
「いえっ、そんな!」

 落ち着いているから、もっと年上に思えたなんて言えない。

「少し休もうか。ドリンクを持ってくる」
「はい、ありがとうございます」
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