極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 しっかりしていて責任感の強い長男気質のショウは、好奇心旺盛でテンションの上がりがちなわたしとサキをうまくなだめながら遊んでくれた。
 でも、数日が過ぎて慣れてくると、やっぱり彼もやんちゃな少年だった。わたしたちはその後のクルーズの間も楽しい時間を過ごしたのだった。

 あとからショウの父親に話を聞くと、ショウは礼儀正しいけれど、なかなか人と打ち解けない少年だったらしい。弟のサキ以外とこんなに楽しそうに笑っている姿は珍しく、これからも仲良くしてほしいと頼まれた。

『ショウおにいちゃま、ピアノ弾いて?』
『ぼくも聞きたい!』

 ショウは基本的に芸術方面に秀でているようで、楽器を奏でたり絵を描いたりするのが得意だった。
 特にピアノは少年ながら見事な腕前で、ショウがフロアにあるピアノを借りて弾いていると大人たちも集まってきて聴き入るほどだった。

 幼いわたしとサキは、子供向けのテンポのいい曲を弾いてもらって即興で踊ったりした。
 子供の無邪気なダンスは乗客にも好評で、わたしたちはセレブリティクイーンのちっちゃな人気トリオになった。
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