極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「すまないな。将生はまだ大学生だし休暇でもあるのだが、海堂家の内輪の事情があるんだ」
「内輪……? あ、内密のことならお聞きしませんから。立ち入ったことを聞いてしまってごめんなさい」

 翔一郎さんはやや苦笑して「気にしなくていい」と言った。

「それに、きみには知っておいてほしいんだ」
「何をでしょうか」
「私と将生のことだ。海堂ホールディングスの社内にも派閥があってね」
「派閥?」

 そんなこと、わたしが聞いてもいいのだろうか。今回のクルーズ中のわたしの立場とかふるまい方に関連して、知っておいたほうがいいということ?

「将生が大学を卒業したら正式な後継者に、という声も社内や一族の中には多い」
「えっ!? 副社長の翔一郎さんが跡を継ぐわけではないんですか?」
「今のところ、そういうことにはなっている。ただ、私の母親はいわゆる愛人なんだ」
「あ、愛人……」
「そうだ。将生の母親が本妻なのだが、長く子供ができなくてね。私の母は跡継ぎをもうけるためにあてがわれた妾というわけだ」
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