極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「そうだったんですか……。お二人は本当に仲がいいんですね」
「そうだな。母親同士は険悪だったが、将生は初めて会った時から私になついてくれた。かわいい弟だ」

 思い出を懐かしむように翔一郎さんは遠くに目をやった。
 私は一人っ子で、それを不満に思ったことはない。でも、こんな兄弟なら欲しかったかもしれないとちょっと思った。





 夜はディナーを食べてから大劇場へ。

 やっぱり客船がもっとも盛りあがる時間は、暗くなってからみたいだ。
 レストランやバーに華やかに装った人々が集い、ショーやパーティーが催され、カジノも興奮に包まれる。

 ちなみにセレブリティクイーンはイギリスの船だけど、日本籍船では換金性のあるギャンブルは禁止されている。
 公海上では基本的に、その船が登録されている国の法律が適用されるから。もちろん別の国の港に寄港している時には、その国の法を守らなければならない。

「本当に映画じゃなくてよかったのか?」
「え、ええ。今はショーが観たい気分なの。映画はまた今度で……」

 最初は例の映画館に行きたいと思っていた。
< 96 / 252 >

この作品をシェア

pagetop