その狂女、ミイラ女と化す
周りの人間たちは、固まったようにその場を動かない。

その間に、わたしは身体にまとわりついている包帯をほどいていく。

火傷でただれた身体があらわになる。

腕なんて、骨までうっすら見えてる。


「おいっ、やめなさい」

医師が必死に止めようとする。

あなたは関係ない存在、だけどいまは単なる邪魔モノ。

わたしはほどいた包帯を、医師の首に巻きつけた。

そして、目一杯に力を込める。


自分でも信じれない力。

死神と一瞬、目が合った。

これはあなたの力ってこと?

家族はまるで悪夢を見ているかのように、

呆然とわたしの行動を眺めていた。

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