その狂女、ミイラ女と化す
しばらくして、やつは唇を離した。

もういい?

目がそう訴えていた。

「それが、好きな相手にするキスだっけ? 彼女にもそんなキスしてたんだ」


また彼の顔が近づいている。

ふたつの唇が重なる。

わたしは彼の口に舌を入れようとする。

やつは、必死に口を閉じて、それを防御。

わたしは手を伸ばして、やつの顎に手を置き、少しだけ力を込めていく。

徐々に、やつの口が開いていく。

そして、わたしの口に彼の舌が入ってきた。

そう、これが愛する者同士がするキスだよね。

わたしはそこで、思いっきり口を閉じた。
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