ダークグリーンに魅かれて
兄さんの部屋を出て、自分の部屋に行くと、LINEの着信に気付く。かなり前だ。ごめん、拓巳くん。

【ただいま、沙里。今、アパートに着いたよ。お風呂に入ってる頃かな?僕も入ってくる】

たまらず、コールする。3回目の呼び出し音で拓巳くんが出た。

「沙里?まだ寝てなかったの?」

「うん、長風呂してて。拓巳くんは?」

「きょうのこと、思い返してた。・・・いろいろあったね。初対面で、その日に家族に紹介してもらえるとは思わなかった」

・・・だよね。

「うん、私も思い切ったと思う。でも、うちの家族、絶対拓巳くんのこと気に入ると思ったし、実際そうなったし」

「僕も、沙里の家族、あったかくて大好きだ。だから、こんな素直で優しい娘に育ったんだな、沙里は」

「・・・そんな、照れるよ、拓巳くん。でも、そんな風に言ってくれてありがとう」

ほんとに嬉しい。

「今日は、いろんな意味で記念日だな。絶対忘れたくない。今日と君とのことをずっと忘れない」

「私も。今日とあなたとのことをずっと忘れないわ」

「これからも、よろしくな。とりあえず、今度は土曜日に会える?」

「うん」

「行きたいとこ、考えといて」

そして、おやすみを言って電話を切った。そのあともなんだかずっと、ドキドキしていた。今日のこと、忘れようと思っても、忘れられないよ。何年経っても、2人で思い返せる日になるといいな。
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