そんなの関係ないよ!
「亜里沙、その、持っている紙袋は何だ?」

パパが言った。あっ・・・手紙の山、渡し忘れちゃった。

「亨兄に書いた手紙。今日、渡すつもりが私忘れちゃったの」

ドジだなぁ・・・。

「じゃあ、これから、岸川さんのところに一緒に行くか?亨君の合格祝いの話をしに」

「本当っ?大好き、パパ!!」

ギュッと、パパに抱きついたら、パパが照れくさそうにしていた。

「行くぞ、亜里沙・・・ママ、ちょっと岸川さんの家まで行ってくる」

「は~い」

玄関を出て、すぐ隣の岸川家のインターフォンを押す。

「山田です」

パパが言う。

「あっ、はい」

亨兄のお母さんの明るい声が聞こえた。

すぐにドアが開けられ、岸川のおじさん、おばさん、亨兄が揃っていた。

「この度は、亨くんの高校合格おめでとうございます。そちらでもお祝いするでしょうけれど、都合のいい週末に、うちの家族にもお祝いさせてください」

「ありがとうございます。亨から聞いていました。来週の土曜の夜はどうでしょう?」

にこやかに、おじさんが提案する。

「どこに行きます?」

「この間、新しくオープンした、イタリアンレストランはどうでしょう?おいしいって評判ですし、個室もありますよ」

「いいですね。そこにしましょう。僕達も亨もイタリアンは大好きです」

「よかった!じゃあ、土曜の午後7時に予約しておきますね」

「ありがとうございます、何から何まで」

「おじさん、どうもありがとうございます、僕のために」

亨兄が、本当に嬉しそうに言った。

「亨くん、本当におめでとう!当日を楽しみにな!」

「はい」

「ね、亨兄!」

「なんだ?」

「さっき、手紙、見せただけでうっかり渡すの忘れちゃった。ドジだね、私」

「いや、僕もうっかりしてた。読むの楽しみだな」

亨兄が太陽のような微笑みをくれて、私はちょっと照れてしまう。

「ごめんな、明日は中学の友達との約束で会えないけど・・・」

「いいのいいの、楽しんできて。また、土曜日に、ね」

「カフェで、鎌倉のこと、話そうな」

「うん」

再来週は鎌倉に行けるのかなぁ。・・・楽しみ。亨兄も楽しみにしてくれてるといいな。
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