そんなの関係ないよ!
その日の放課後。私は、2人と向き合っていた。

「亨兄が何て言うか分からないけど、取り敢えず、私としては2人には会ってもらいたいと思う。大切な朋美と優香だもの」

「亜里沙のことだから、きっとかっこいい人を選んだんだろうなぁ」

と優香。

「私たちと会いたくない、なんていう人だったら、ろくなもんじゃないわよ」

と朋美。

「まぁ、まぁ。多分、会ってくれると思うよ。ただ、土曜日とかになっちゃうと思うけど、そこは大丈夫?」

「亜里沙と遊ぶ、っていえばOKよ、ね、優香」

「うんうん」

「分かった。じゃあ、亨兄に聞いておくね。バイバ~イ!」

2人に別れを告げると気が重くなった。私とつきあうくらいだから、子どもは苦手じゃないけど、もし、亨兄が2人のうちどちらかを気に入っちゃったら・・・?亨兄との思い出はたくさんあるけど、それが覆されちゃったら?朋美も優香もなかなか可愛らしい子たちだ。

ぶるん、ぶるん。そんなことない。

16時50分。不安な気持ちを隠しつつ、亨兄の家のインターフォンを鳴らす。亨兄のお母さんが亨兄に取り次いでくれて、玄関から亨兄が出てくる。

「亜里沙?どうした?」

思いつめた顔をした私に優しく語りかける亨兄。

思わず、亨兄に抱きつく私。ぎゅっと抱きしめてくれる。そしてもう一度優しく。

「どうした?」

朋美と優香が会いたがっていることを言うと。

「そうだな。。。僕も2人に会いたいよ。大丈夫、好きなのは亜里沙だけだよ。僕を信じて?」

土曜日のことを思い出す。きっと大丈夫だ。

「うん。信じてる、亨兄。大好きよ」

「俺も大好きだよ、亜里沙・・・っと、そろそろ17時じゃない?」

「うん、急いで帰る。また、電話するね」

スケジュールはまた、決めればいい。急ぐことはないのだから。
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