離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
「うん、もし気になるのならまずは市販の検査薬でチェックしてみたらいいわ。それからいろいろ考えましょう?もちろん私から余計な事を剣持先生に言ったりしないから」

 凛音の動揺に気付いたのか、博美は母のような表情で凛音の頭を撫でてくれた。

 凛音はドラッグストアに寄り妊娠検査薬を購入して帰った。
 トイレで封を開け、検査をして待つこと数分、震える手で確認した結果は――陽性だった。



「凛音、寝てるのか?」

 日付が変わった頃、呟くような低い声と共に、暁斗が明かりを落とした部屋に入ってくる。

 夕方入った緊急手術で遅くなるから先に寝ているようにと連絡が入っていたので、言われた通りに凛音は暁斗の部屋のベッドで横になっていた。

 本当はベッドに入ってから一睡もできていないのだが、凛音は目を瞑り寝たふりをする。

 彼は入浴を済ませたようだ。凛音を起こさないようにと慎重にベッドに入ってくる。
 暁斗は狸寝入りをしている凛音のおでこをそっと触って体温を確認した後、背中側からふわりと凛音の体を抱きしめる。

 こうして近くに暁斗の体温を感じると、凛音はこの上ない安心感を得られることが出来た。
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