離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
「まあまあ、美咲先生、こういうのは男はピンとこないんだよ」
「彼、一応医者なんですけどね」

 福原の言葉にも美咲は辛らつだ。

 どうもその様子から美咲が暁斗に想いを寄せているようには見えない。
 凛音は、今までと違った意味で胸がザワついてくる。

「だって、さっき暁斗から相談されて、いやそれ、まず妊娠を疑えって思ったんですけどね。指摘しようと思ったら急に奥さん倒れて、暁斗は血相変えてすっ飛んで行って――」

 さっき廊下でふたりが話していたのは、凛音の事だったらしい。
 暁斗を見ると、バツの悪い顔をしている。

「凛音はいつ気付いたんだ?」
「昨日、検査薬で分かったんですけど……」
「うん?」

 この際だから聞いてすっきりしてしまおうと思って凛音は思い切って口を開く。

「あの、暁斗さんと寒川先生は元恋人同士で、今も好き合ってて、結婚したいんだって思っていました」

「ウソだろ」
「ウソでしょ」
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