離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~

 ぽかんとしている間に凛音は美咲とふたり病室に残される。
 先ほどまで暁斗はが座って居た椅子に彼女が座った。

「――なんか壮絶な誤解をさせてしまったみたいね」

 美咲は白衣のポケットに手を突っ込みながら苦笑している。

「いえ、聞くのが怖くてちゃんと直接確認しなかった私がいけなかったんです」
「そこまで誤解させちゃった原因は、何だったのかしら?」
「……実は」

 凛音は更衣室で耳にした内容と、夜の外来で暁斗と美咲の会話を聞いてしまった事を正直に話した。

「そう、あの時の会話聞かれてたのね。ごめんなさい、辛い思いさせちゃった。さっきも言ったけど、私と暁斗は大学の同期で仲間だったけど一度も付き合ったことが無いし、お互いそんな気持ちになったことなんてないわ」

 大学の時から研修などで行動を共にする機会が多い上に、目立つふたりだった為、勝手に付き合ってると勘違いしている外野もいたらしいが、あくまで同期としての付き合いでしかなかったのだ。
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