離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
 自分のすごい勘違いっぷりに凛音は溜息交じりの声を出す。

「福原先生になんとかアプローチしたいんだけど上手く行かなくて。だから取り持つように暁斗に頼んでいたのをあなたに聞かれちゃったわけ。暁斗、『事情があるから少し考えさせてくれ』なんて、適当な事言ってたけど、あれ協力する気無いわね、心の底から面倒だっていう顔していたから」

 やんなっちゃうわ、と美咲は困ったように笑う。

「本当に誤解させてしまってごめんなさいね。でも、凛音ちゃんが暁斗にめちゃくちゃ愛されていることは私が保証する。あなたが倒れたのにを気づいていち早く助けに行けたのも、廊下のすごい端の方からでもあなたの事を視線で追っていたからだと思うわ」

 それにね、と美咲は続ける。

「帰国して山海で暁斗と久しぶりに会った時、妻の為に用意したいから女物の服のブランドを紹介しろって言われてね。ブランドって言っても色々あるから、奥さんのイメージを教えて欲しいって聞いたら、彼、なんて言ったと思う?」

 ――美咲がこっそり教えてくれた暁斗の回答に今度は凛音が真っ赤になる番だった。



 しばらく美咲と盛り上がっていると暁斗が病室に戻って来た。
「凛音、結城先生に産婦人科の外来に待機してもらってるから。動けそうか?」
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