離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
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その後すぐに凛音は九王総合病院を退職した。
仕事を続けていたい気持ちもあったのだが、身重の妻の体調を過剰に心配する夫に負けた。
なんせ彼には倒れた現場を見られ、彼曰く『心臓が止まる』ほどの心配を掛けてしまった事もあり、凛音も働き続けたいと強く主張出来なかったのだ。
『九王はウチの病院なんだ、将来復職したくなったら、したい時にいつでもさせてやる』という頼もしいのか横柄なのかよくわからないセリフを聞いて『それもそうか』と思ってしまったのもある。
病院での仕事は好きなので、彼の言う通り、落ちついたらどんな形でもいいので携われたらいいなと思っている。
急な退職となってしまったが、結婚当初の建前で『子供が出来るまでは仕事を続ける』と公言していたので、子供が出来た今、周囲もすんなり納得してくれた。
建前が本当になってしまった事になったのだから人生はわからないものだ。
上司である博美には妊娠したことをすぐに報告した。
彼女はとても喜んでくれて、色々なアドバイスをくれている。母がおらず、初めての妊娠、出産となる凛音は不安もあるのだが、博美や暁斗の母に色々と相談に乗ってもらえてとても助かっている。
つわりも当初はあったのだが、妊娠3ヶ月に入ったここ最近は調子が良かったり悪かったりと日々違いはあるものの、それほど辛くはなくなってきた。