離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
 凛音は美咲に恋バナを話していい相手と認識されたようで、彼女の休憩中に病院で出くわすと、つかまって福原との話ことを相談される。

(それにしても、あんなに素敵な人に長年片思いされていて気づかないなんて。よっぽど寒川先生がアプローチ下手なのか、それとも、もしかしたら洋一郎先生はものすごく自分の恋愛事情には鈍いのでは……?)

 今まで凛音には恋愛話をして盛り上がれるような友達がいなかったので、美咲と話しているとなんだか学生のような気分になって楽しかったりする。
 出来れば美咲の長い長い片思いが実るように、何か協力出来ればと思っている。


「……暁斗さん、まだ帰ってこれないのかなぁ」

 ソファーに背中を預けながら思わず凛音は溜息を付く。
 時計を見ると19時を過ぎている。帰宅する予定の時間を過ぎているが、まだ暁斗が帰って来る気配はない。

 結婚してから初めてのクリスマスイブ。ダイニングテーブルは綺麗にテーブルセッティングをして、いつもより時間を掛けて作ったご馳走が並んでいる。
 しかもケーキは自分で焼いてみた。なんせ高性能のオーブンがあるのだから焼き放題だ。

 今日暁斗は当直では無いので、何もなければもう帰って来ても良いはずの時間だ。
 逆に何かあれば今日は帰って来れない事になる。
 緊急手術が入れば場合によっては明日の朝方まで家には戻れないだろう。
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