離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
「……めちゃくちゃロマンチックです」

 暁斗の笑顔を見ながら凛音も笑って答える。しかし、彼の思いやりが嬉しくて胸が一杯になり、声が詰まる。

「あぁ、それとこれを」

 暁斗はもう一つ小さな黄色い花束を差し出す。ふんわりとした黄色い色合で纏められた可愛らしい花束だ。

「俺たちの子供に。凛音、この子を宿してくれてありがとう」
「暁斗さん……っ」

 凛音は涙を堪えるのに精いっぱいで、言葉を続ける事が出来なくなってしまった。

「俺は患者の為に仕事を優先して来たし、目の前の命を救うためにこれからもきっとそうしていく。君に寂しい思いをさせる事があると思う。現に寂しい思いをさせてしまっているだろう?」
「でも、それは当然の事だと思っています」

 なんとか言葉を絞り出す。医者の妻としてそれは我慢しなければならないと凛音は思っているから。

「君がそう言ってくれるのは嬉しいし、本当にありがたい。でも、思った事は我慢しないで口に出して欲しい」
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