離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
 きっと遠慮するより、素直にありがとうと言った方が暁斗は喜ぶだろうと思った凛音は笑顔でお礼を言う。

 それに、本当に嬉しかったのだ。指輪も、彼の気持ちも。

「ふふ、でも、マリッジリングの後にエンゲージリングもらうなんて、やっぱり順番おかしいですね」
「結果的に俺たちはこうして幸せでいられるんだ。それでいだろう」

 ――結果オーライだと暁斗が普段は口にしなそうな言葉を使うので凛音は笑ってしまう。

「来年、安定期に入ったら結婚式もするぞ」
「結婚式!?」

 どうやら暁斗は夫婦として今までやり損ねていた事を全部やるつもりでいるらしい。

 次から次へと飛び出す夫からのサプライズに凛音はいよいよ付いていけなくなっていく。

 すると、暁斗が凛音の膝の上にあった2つの花束と指輪のケースを目の前のテーブルに移動させる。どうしたんだろうと見ていると、体がひょいと持ち上げられ、凛音は彼の膝の上に横向きに乗せられてしまった。

「あ、暁斗さん?」
「将来、この子に俺たちの結婚式の話をしてやりたいだろう?」

 暁斗は後ろから包み込むように手を回し、まだ平らな凛音のお腹にそっと手両手を添える。
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