離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
 凛音は病院内で友人は殆どいないのだが、病院の生き字引的な博美と、事情通の医師の福原が何かと話をしてくれるので、案外病院内の人間関係について詳しくなっていた。

「今日中に渡せれば良いと思うけど、気分転換がてら行って来たら?……ねぇ、なんか最近凛音ちゃんお疲れ気味に見えるんだけど、大丈夫?」
 悩みでもあるの?と博美の丸い目が心配気になる。

「――大丈夫です。心配させちゃってすみません。忙しくて根詰めちゃったかも、早速行ってきますね!」

 凛音は誤魔化すように笑ってカタログの入った封筒を受け取ると、事務室を出て病棟側のエレベーターに向かう。
 タイミグよく待たずに乗れたエレベーターには、既に病院職員が何人か乗っていた。
 上昇するエレベーターの階数表示を凛音はボンヤリと眺める。

(仕事中は顔に出してないつもりだったのになぁ)

 エレベーターの動きとは裏腹に凛音の考えは下降していく。

 目下の悩みである金銭問題は未だ解決していない。ダブルワークを念頭に働き口を探してみたが、割が良いのはキャバクラなどお酒を出して、朝方まで働くような仕事ばかりだ。
 夜働きに出たら、同居している遼介に疑われるに決まっている。バレないように上手く嘘を付ける自信が無い。
 やはり多少怪しいところからでも借金するしか無いだろうか。
< 18 / 170 >

この作品をシェア

pagetop