離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
当初凛音は料金も高いし、と遠慮しようとしたのだが、暁斗は『何を言っているんだ?』という顔して『君に払わせる気は無いし、労力と時間を金で買うだけだ』と言ってさっさと手配してしまった。
お金を掛けないために労力と時間を使って生きてきた自分の価値観とはずいぶん違うなと思ったが、正直助かってしまった。
「後は少し自分で整理するだけなので、剣持先生はお構いなく。後で夕食作っても良いですか?」
「わかった、俺は部屋で仕事をしている。夕食は頼む」
彼と個人的に話すようになってまだそれほど経ってはいないが、剣持暁斗という人は確かに口数が少ないし隙も無いが、そこまで冷たい人ではないのではと感じている。
(意外とマメな所もあるのよね。全部丸投げされると思っていたんだけど……)
必要な事は当たり前のように対応してくれる。婚姻届けもそうだが、病院への報告や諸手続きにも暁斗は協力的だった。
『ふたりは今まで内緒で交際していたが晴れて入籍して結婚生活をスタートする。結婚式は暁斗の仕事が落ち着いてから行う予定。子供が出来るまでは凛音は仕事を続ける』
見事に嘘で固めたこの建前の元、凛音は病院での仕事を継続することにした。
『妻』の存在が病院内にある方が良いという暁斗の思惑もあったし、凛音も仕事は続けたかった。
離婚の時期はまだ明確に決めてはいないが、その時が来たら九王総合病院は辞めなければいけないだろう。それまでは現場に近いところにいたいと思ったのだ。
その方が違う病院への再就職がしやすい。
お金を掛けないために労力と時間を使って生きてきた自分の価値観とはずいぶん違うなと思ったが、正直助かってしまった。
「後は少し自分で整理するだけなので、剣持先生はお構いなく。後で夕食作っても良いですか?」
「わかった、俺は部屋で仕事をしている。夕食は頼む」
彼と個人的に話すようになってまだそれほど経ってはいないが、剣持暁斗という人は確かに口数が少ないし隙も無いが、そこまで冷たい人ではないのではと感じている。
(意外とマメな所もあるのよね。全部丸投げされると思っていたんだけど……)
必要な事は当たり前のように対応してくれる。婚姻届けもそうだが、病院への報告や諸手続きにも暁斗は協力的だった。
『ふたりは今まで内緒で交際していたが晴れて入籍して結婚生活をスタートする。結婚式は暁斗の仕事が落ち着いてから行う予定。子供が出来るまでは凛音は仕事を続ける』
見事に嘘で固めたこの建前の元、凛音は病院での仕事を継続することにした。
『妻』の存在が病院内にある方が良いという暁斗の思惑もあったし、凛音も仕事は続けたかった。
離婚の時期はまだ明確に決めてはいないが、その時が来たら九王総合病院は辞めなければいけないだろう。それまでは現場に近いところにいたいと思ったのだ。
その方が違う病院への再就職がしやすい。