離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
「そうか、それなら優しくしなければならないな」
「え……」
「だが、初めての女を無理やり抱くのは趣味じゃない――同意は貰えるか?奥さん」
「……!」
このまま続行する前提で話をされている。
凛音は冷静になれと必死に自分に言い聞かせる。
元より凛音は彼を拒絶できる立場ではない事はわかっている。
お互いのメリットの為の契約結婚だが、実際の所、暁斗にとって凛音はいくらでも代替えがきくような存在。一方、凛音は資金面で彼に頼らなければたちまち困窮する。
対価として彼が望むのなら、この身体を差し出す位の覚悟は持てる……と思う。
ただ、数多の女性に言い寄られても相手にしてこなかった彼が、まさかそういう意味も込みで自分を妻に望むだなんて思っていなかった。自分の認識が甘かったとしか言いようがない。
(でも、何でだろう。嫌な感じはしなくて、むしろ……)
凛音はもう一度自分を組み敷く男の整った容貌を見上げた。明るさに慣れ始めた目は彼の表情をはっきり認識することが出来た。
視線を合わせた瞬間、凛音の胸がドクンと一度大きく鳴った。
黒曜石のように底光りしている瞳は熱を帯びていて、見てはいけなないものを覗いてしまった気持ちになる。
「え……」
「だが、初めての女を無理やり抱くのは趣味じゃない――同意は貰えるか?奥さん」
「……!」
このまま続行する前提で話をされている。
凛音は冷静になれと必死に自分に言い聞かせる。
元より凛音は彼を拒絶できる立場ではない事はわかっている。
お互いのメリットの為の契約結婚だが、実際の所、暁斗にとって凛音はいくらでも代替えがきくような存在。一方、凛音は資金面で彼に頼らなければたちまち困窮する。
対価として彼が望むのなら、この身体を差し出す位の覚悟は持てる……と思う。
ただ、数多の女性に言い寄られても相手にしてこなかった彼が、まさかそういう意味も込みで自分を妻に望むだなんて思っていなかった。自分の認識が甘かったとしか言いようがない。
(でも、何でだろう。嫌な感じはしなくて、むしろ……)
凛音はもう一度自分を組み敷く男の整った容貌を見上げた。明るさに慣れ始めた目は彼の表情をはっきり認識することが出来た。
視線を合わせた瞬間、凛音の胸がドクンと一度大きく鳴った。
黒曜石のように底光りしている瞳は熱を帯びていて、見てはいけなないものを覗いてしまった気持ちになる。